ベトナムには8つの世界遺産が登録されています。ベトナムの世界遺産で思い浮かぶのは「ホイアン」や「ハロン湾」という方も多いのではないでしょうか。
ベトナムではメジャーな世界遺産も、アクセスを考えると決して利便性がいいとはいえません。そんな中おすすめしたいのが、ハノイ旧市街に突如現れる『タンロン遺跡』です。
『タンロン遺跡』は街中にあるのに知名度が低く寂しい印象もあります。
だからこそ、早いうちに観光してもらいたい!
そんな思いで『タンロン遺跡』の魅力を紹介します。歴史好きな方は外せないスポットですよ。
2010年に世界遺産に登録された『タンロン遺跡』
『タンロン遺跡』は2003年に発見された遺跡群で、2010年に世界遺産に登録されました。
ハノイの旧市街にあるため、ベトナムの世界遺産の中ではいちばんアクセスしやすい世界遺産といえます。
『タンロン遺跡』の正式名称はハノイ・タンロン王城遺跡中心地区です。
この地域は昔タンロンと呼ばれていました。ちなみにタンロンとはベトナム語で昇龍という意味。遺跡内にも昇龍を象徴する建造物があるので、ぜひ探してみてください。
『タンロン遺跡』は11~19世紀初頭まで首都として使われていました。歴代の王朝がこの地に居城していましたが、1800年代から徐々に勢力を強めていったグエン王朝はフエに首都を移します。
『タンロン遺跡』の特徴
『タンロン遺跡』の特徴は、約800年の間に築かれたさまざまな王朝時代の遺跡が残っていることです。
近代史の歴史に残るフランス植民地時代には、フランス軍司令部として利用。その後、ベトナム戦争が勃発しますが、ベトナム人民軍司令部としても使われていました。
『タンロン遺跡』の建造物には、悲しい過去の爪痕も残されています。
世界遺産としての整備はまだまだですが、歴史的価値の高いものが多いのは一目瞭然。遺跡内は説明パネルが少ないため情報を得るのは難しいですが、遺跡や出土品から何か感じてもらえたらと思います。
『タンロン遺跡』の詳細情報
『タンロン遺跡』の詳細を載せてみました。世界遺産なのに入場料が激安なんです。
入場料が改定される前にぜひ訪れてみてください。
ちなみに日本語のパンフレットもありますが、情報がかなり薄いためパンフレットはなくて問題ありません。
名称 | Hoàng Thành Thăng Long |
住所 | 19C Hoàng Diệu, Điện Bàn, Ba Đình, Hà Nội |
電話番号 | +84 243 734 5427 |
営業時間 | 8:00~17:00(定休日:月曜日) |
入場料 | 30,000ドン(約150円) |
公式URL | http://www.hoangthanhthanglong.vn/ |
現在も発掘中の『タンロン遺跡』の見どころ
発掘が終わっていない『タンロン遺跡』ですが、ここさえ押さえておけば大丈夫!という見どころを挙げてみました。
遺跡内は広大な敷地で、ゆっくり見て回ると2時間はかかってしまいます。熱中症対策は万全で観光してみてください。
『タンロン遺跡』の入口は、ホアン・ジエウ通り沿いに面しています。入口はわかりにくいですが、体育館のような建物と駐車場が目印です。
入口に入ったら右手のチケット売り場でチケットを購入して遺跡内を回ってみましょう。
『タンロン遺跡』のシンボルともいえる「端門」
チケット売り場を抜けると目の前にそびえたつのが端門です。ずっしりとしたいで立ちで、端門が重要な場所だったのは一目瞭然。
この端門は皇帝が住む敬天殿へ通じる門でした。かつては検問も行われていた重要な場所です。
写真を見るとクリーム色の楼閣下に5つの入口がありますよね。5つの入口は、位によって通れる門が決まっており、皇帝は中央のいちばん大きな入口を使っていました。
端門は左右の階段から楼閣へも上がれます。楼閣から広がる景色は、目の前にある広大な庭です。私も登ってみましたが、開放的で風が気持ちよく感じました。
フランス軍事政権の建造物が「資料館」に
端門から進んでいくと、洋風の建物が見えてきます。ここはかつてフランス軍が建てた建造物です。
建物の内部は資料館になっており、遺跡内で発掘された陶器や発掘の様子が展示されています。
歴史的にも価値のあるものが展示しているにもかかわらず、資料館には警備員がいません。これだけ無防備な世界遺産は、なかなかないですね。
皇帝の宮殿があったとされる「敬天殿(昇龍の階段)」
次の見どころはタンロン(昇龍)の階段です。手すりのように構造されている昇龍は迫力満点。
じつはこの階段は立入禁止されています。その理由は、かつて階段の先に敬天殿という皇帝の宮殿があったとされているからです。
現在はその姿はなく、代わりにフランス軍が建てた軍の司令部が現存しています。
ベトナム戦争時代は重要な場所だった「D67」
奥に進んでいくと、いちばん近代的な建物が見えてきます。ここは「D67」と呼ばれており、ベトナム戦争のときはベトナム人民軍の司令部として使われていました。
中に入ると当時の様子がわかる地図や機会、将軍の私物などが展示されています。
「D67」に来たら、ぜひ地下へ続く階段を下りてみてください。地下に続く入口には頑丈な鉄製のドアがあり、原爆にも耐えられる作りになっています。
地下には会議室と通信室が再現。展示は興味がそそられるもの多いので、アーミー好きな方は来てみる価値ありますよ。
フランス軍が攻撃した爪痕が残る「北門」
「北門」はグエン王朝の初代皇帝ザーロンが作った巨大門です。『タンロン遺跡』にはもともと5つの門がありましたが、現存しているのは「北門」だけ。
皇帝ザーロンが作ったとだけあって「北門」はどこかフエ王朝の建造物にも似ているように感じました。
「北門」には1882年、フランス軍が攻撃した砲弾した跡が残っています。攻撃を受けてもたくましくそびえ立つ「北門」は、何か語りかけているかのように感じます。
「北門」のそばには英雄グエン・チー・フオンが祀られていますので、こちらも合わせて回ってみてください。。
じつは私が「北門」の存在を知ったのは、ハノイ旅行から帰国した後。知っていれば絶対に見たかったスポットです。
最後に
発掘調査中の『タンロン遺跡』は少し物足りなさを感じますが、さまざまな時代を体感できるが魅力的です。
『タンロン遺跡』は世界遺産なのに観光客はまばら。さらに入場料も破格値なので、今のうちに観光してみましょう。近くには、ホーチミン廟や軍事歴史博物館などもあるので、セットで回ってみるといいですよ。
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